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早朝の上富良野町は濃霧に覆われていた。「晴れて来るのかしら?」「このままじゃ中止だね」・・・しかしそんな心配は杞憂だった。登山口が近づくにつれて日射しを感じ始め~あっと言う間に青空が広がったのである。
2014年09月21日、私達は吹上温泉保養センター・白銀荘のキャンプ場に立った。カラフルなテントが張られていて、なんとなくまだ夏の賑わいを感じて心が和む。ゆっくりと装備を整え午前7時35分駐車場をスタート、キャンプ場を横切り急な法面の階段を登って「三段山3.3km」の標識を見る。笹が刈り払われた広い登山道を淡々と進んで行き、小さな沢を渡って一段目への登りとなる。

夏山としての三段山には昨年の10月5日に初めて登って、その紅葉の素晴らしさに圧倒された。今年は昨年よりも2週間早く、さすがに麓の木々はまだ色づいた程度であった。「やっぱり早かったかなぁ」ちょっと気落ちしながら俯き加減に登って行く。「これ、ゴゼンタチバナよね」おばさんが指を差す。花後と果実のコラボとでも言おうか~そっとカメラを向ける。

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キャンプ場奥の法面上部を進んで三段山の標識を見る

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一段目の登りが始まる

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ゴゼンタチバナの花後と果実
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一段目を登り切ってアカエゾマツの樹林帯やダカケンバ林を抜けると二段目への登りが始まる。急な階段を登りつめ視界の無いハイマツトンネルを潜り抜け・・・と登りが続いて、そろそろ休憩しようかと思うところだが、なかなか適当なところが無い。ハイマツに囲まれながら立ち止まって汗を拭い水分補給する。「もうちょっと先で視界が開けるよね」「白い山が見えてると良いね」、どうも紅葉があまり期待出来そうにも無く~展望狙いに変更しようと思っていた。

登り始めてから1時間弱、標高約1360m付近で視界が開ける。「わぁ~見えてるよ」おばさんが叫ぶ。フリコ沢越しの前十勝の山裾に冠雪した旭岳がクッキリと見えていた。「すごいね~もう真っ白だよ」「去年は山裾の紅葉越しに見られたんだけどね」「うん、それはこれからだろうね」そう言いながら私はカメラを構えた。

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アカエゾマツの間を抜けて

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二段目への急登個所には階段がついている

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ハイマツトンネルを潜り

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標高約1360m付近でやっと視界が開けて

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フリコ沢越しの前十勝の山裾に冠雪した旭岳が見えた
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三脚をセットして写真を撮っている単独の男性が居た。「こんにちは~素晴らしいですね」「そうですね、やっぱり良いですね」少しだけ話を交わして私達は先に進んだ。前方にはうっすらと冠雪した十勝岳が見えて来た。「良いんじゃない、ほらっ、あのあたりなんか綺麗よ」おばさんの声が段々弾んで来た。「紅葉と十勝岳シリーズだな、もうちょっと十勝岳が白かったら・・・」などと贅沢を言いながら振り返る。手前の斜面を彩る紅葉の奥に小さく旭岳を見てシャッターを押した。

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前方には十勝岳山頂部が見えて来て

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紅葉と十勝岳 その1
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紅葉の彼方に旭岳を見る

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紅葉したナナカマドと緑のハイマツのコントラストが美しい

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