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高度が上がって来ると視界がぐんぐん広がって来る。ロープウェイの中から、そして7合目登山口の展望台から見た雲海を抱いた北大雪の山々を一段と俯瞰することになるのだ。その大雲海はまるで大河が蛇行するがごとく~遙か遠くは阿寒の山々から、そして武華山、武利岳、屏風岳の麓を流れ~平山からニセイカウシュッペ山の麓へと巨大な滝のように流れ落ちて行く。それはまさしく壮大な神々しい光景であった。

「あぁ~素晴らしい~」私は大声をあげながらファインダーを覗き、シャッターを押した。

そんな写真を撮っていると後ろから来た単独の男性に声をかけられた。「ひょっとして北海道あれこれの・・・」「あ~そうですが」「今週は何処を登るんだろうかといつも楽しみしているんですよ」「ありがとうございます」。

やがて前方にはマネキ岩が見えてきて~

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北大雪の山麓を埋め尽くす雲海
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ニセイカウシュッペ山

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前方にマネキ岩が見えて来た

「わぁ~綺麗よ~」と先を行くおばさんが歓声をあげる。マネキ岩周辺の紅葉がどんどん迫って来る。黒岳の紅葉のビューポイントとでも言える個所である。昨年見た時にはやや黒ずんだ印象だった~今回は朝の陽射しを受けて一段と光り輝いていた。「今年は良いんじゃないか~色合いがとても濃いよね」。5合目から7合目はまだ色づき始めと言った印象だったが、さすがにここまで高度が上がると見事な彩りである。これから紅葉はどんどん下部へと広がって行くことだろう。

ナナカマドの輝きに包まれながら一気に登り切って黒岳山頂に飛び出した、午前8時ちょうどだった。

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マネキ岩を彩る紅葉に包まれながら

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黒岳山頂へ

「黒岳は相性が良いわよね」おばさんは言う、この日も広大な展望が目の前にあった。平日の早朝とあってまだまだ登山者は少ない。数名の方々が思い思いに寛いでいるだけの静けさだった。私もお気に入りの光景を狙ってシャッターを押す。

旭岳方面に向かってお鉢平を囲む山々を・・・白雲岳方面に向かって烏帽子岳山麓の紅葉を・・・凌雲岳、北鎮岳、上川岳を・・・ひと通り撮影を終えてほっと一息、赤石川方面の紅葉を見ながら~オニギリを頬張り、ミネラルドリンクを飲み干す。さすがにこの高さになると少し風が吹いて来る。一気に気温も下がっているようでアウターを着なければ寒いほどである。もう防寒対策が必須の時期となったのだ。

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目の前にお鉢平を囲む山々

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中央奥に白雲岳、手前左に烏帽子岳、右端は北海岳

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赤石川方面の斜面の紅葉が美しい

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凌雲岳と奥に北鎮岳

黒岳石室に向かって下って行く、周辺はウラシマツツジとクロマメノキの紅葉に覆われている。どんどん下って行くと眼下に周辺を紅葉が彩る黒岳石室が見えて来る。このあたりの光景もたまらなく美しい。
「居ないわね~」「声が聞こえないな~」、この周辺ではシマリスやナキウサギ等を良く見かけるのだが・・・あの「ピチッ」と響くサキウサギの声は聞こえて来なかった、「まあ帰りに期待してね」。

8時40分、黒岳石室に到着~ザックを下して休憩だ。石室前のキャンプ場で撤収を始めている人達、のんびりとベンチで寛いでいる人達、ゆったりとした空間が広がっていた。

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黒岳石室へ向かって下って行く

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ウラシマツツジの紅葉(おばさん撮影)

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クロマメノキの紅葉

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眼下に黒岳石室が見えて来た

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黒岳石室へ

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