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4月10日漁岳の山頂に立った時、次に登る山は決めていた。山頂から見えていた〜空沼岳である。雪山としての空沼岳には過去3回挑戦していた。金山林道ルートからは2回登っていたが、天候に恵まれず「空沼」まで、その後金山林道は借地している鉱山により通行禁止となったので、「北海道雪山ガイド」に記されている「下金山林道ルート」から入り、山頂手前600m付近まで登ったが、又々天候悪化のため登頂を断念していた。「空沼」から見るその山頂は見るからに登頂意欲をそそられるものだったが・・・林道が長い事、空沼手前の急斜面がキツイ事、そして山頂手前の細い急斜面等々、山スキーでは挑戦する意欲を失っていた。

それが、今年のワカンデビューで状況が一変した。天気と雪質に恵まれれば、十分登頂可能と判断した。しかも金山林道入り口の鉱山は現在閉鎖されているようである。漁岳の帰路に国道沿いの駐車スペースも確認しておいた。後は好天の時を待つのみである。
そして4日後、2012年4月14日午前7時、私達は金山林道入り口をスタートした。林道入り口には特に通行禁止等の表示は無い、すぐ先にある鉱山の建物付近も人の出入りの様子も無い。

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林道入口

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スノーシューと思われるトレースが微かにあったが、どうやら先行者はいないようだ。この日は全道的に晴れマーク、クッキリと抜けるような青空が広がっていた。まだ気温が低いせいもありワカン歩行は快調だった。
歩き始めて15分ほどで徒渉地点、ちょっと危なげなスノーブリッジを慎重に渡る。この林道は広い漁岳林道とは趣きが異なり、両側を樹林に囲まれているので一段と静けさを感じる。「そろそろ時期だからね」とおばさんは首からぶら下げたホイッスルを吹いた。もちろんこちらの存在をヒグマ等に知らせるためだ。

なだらかな林道は左右にカーブしながら徐々に斜度を増して来る。やっと斜度も落ち着いて立ち止まり、息を整える。「そろそろ林道は終わりかな〜」「いやっ、もう少しかかると思うよ」ここで言う林道の終わりとは「下金山林道」との交差地点の事であり、今回の尾根取り付き地点のことでもある。
    
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スノーブリッジを渡る

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林道には微かなトレースが続いていた。そして、、、突然おばさんが叫んだ!「これってクマの足跡じゃない!!」おばさんの声に足下に視線を移すと、そこにはまぎれもないクマの足跡があった。クッキリと爪痕も残っている、しかもかなりの大きさである。

「どうする?」おばさんが不安そうに言う。その足跡を良く見ると表面に薄い氷が張っていた、と言うことは直前のものでは無さそうである。少なくても昨夜以前のものと思われた。
「俺が先に行くよっ」私はちょっとビビリながらホイッスルをひと吹き、前方を見ながらゆっくりと進んだ。その足跡は私達の前方に進んでいる、林道交差地点できっと方向が見えるだろうと予想した。そしてその林道交差地点に立つ、「あら〜〜〜俺達の進む方向に向かってるぞっ」私は絶句した。「どうする〜」「ちょっと待って」私はザックをおろして尾根に向かっているクマの足跡を追った。とすぐ先でクマは戻っていた。そして下金山林道方向に向かっていたのである。「ふ〜〜っ、良かったね」ミネラル飲料を飲み干して乾いた喉を潤した。

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大きなクマの足跡

さて、少しほっとしたとは言え、ちょっと心配なのでもう一度大きくホイッスルを吹いて尾根に入った。尾根とは言っても全般的に広くなだらかである。方向を確認して微かなトレースに導かれながら木々の間を進んで行く。何度か小さなアップダウンを繰り返す。標高900m付近の斜面を登り切ったあとは北西に向かって真っすぐに進んで〜いよいよ難所の急斜面に突き当たる。

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標高900m付近の斜面

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