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時折ガスが途切れて美瑛岳の山腹をちょっとだけ見せる。「ここからは迫力があるんだけどなぁ・・・」ちょっと残念ではあったが、「まあ、お花見だから・・・」と言うおばさんの声に慰められる。

美瑛岳に登るのは、十勝岳から縦走した時を除けば実に12年ぶりである。避けていた訳では無いが、なんとなく毎年の山行の流れで遠ざかっていたようだ。最近は○年ぶりと言う山行が続いているが、それはもう一度じっくりと登ってみたいと言う気持ちと、久々の訪問?の新鮮さからだろうか。

やがて勝瑛ノ滝の下に流れ込む深くえぐられた沢を越える。手前には鉄製の梯子が置かれていた。沢に残る雪が消えた時にはこの梯子が設置されるのだろう。今回はまだ十分雪で埋まっていたので問題無く通過、しかし沢の縁はもろく崩れ易そうにも見える。大雨等の後には注意が必要だろう。

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鉄製の梯子が置かれていた

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まだ雪で埋まった深い沢

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対岸側から帰路に撮影

トラバースを終えて沢に向かってどんどん下って行く。やがて沢の水音が一段と大きく聞こえて来た。「大丈夫かしら・・・」ちょっと不安になりながらポンピ沢に下り立った。水の流れは早いもののそれほど深くも無い。ちょっと登山靴を濡らす程度で飛び石伝いで問題無く通過、ほっとしてザックをおろした。今回の山行では雲ノ平の花々が狙いだったので、この二つの沢が自分達で渡れない場合は引き返すことにしていた。

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沢に向かって下って行く

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ポンピ沢渡渉地点

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対岸側から撮影

さて、いよいよ標高差200m強の急登の始まりである。「ヨシッ」と気合を入れて登り始めた。思っていた通りの手足を使っての急斜面だ、「急がずに、、、ゆっくりと、、、」そう自分に言い聞かせながら登って行く。おばさんは快調だった、時々振り返りながら「大丈夫?」などと言う余裕もある。「うん、」そう答えながらヨッコイショと足を上げる。ここまでもそうだったが、登山道は笹仮りされていて快適だ。
40分ほどの辛い登りを終えて、美瑛富士への分岐に到着した。

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美瑛富士への分岐地点

分岐で休んでいると単独の男性が下りてきた。「こんにちは〜山頂はどうでしたか」「いやぁ〜凄い風でした、山頂までほんの10分間程度なんですが、強烈な風とガスで一気に寒くなりましたよ。ですから山頂では休まずにすぐに下りて来ました」「そうですか、標高2000mを越えますからね、まあ私達も無理せずに行きますよ」
「お花はどうでしたか?」おばさんが尋ねると〜「いっぱい咲いていましたよ」〜そんな言葉に元気をもらう。その後も少し山談義をしてから、その男性は目の前の雪渓を渡って美瑛富士へ向かって行った。

私達は美瑛岳に向かって登り始めた。深くえぐれた岩まじりの登山道を登って行く。咲く花々に目を奪われて辛い筈の登りを忘れている自分が居る。久しぶりのジムカデが可愛らしい、キバナシャクナゲはちょうど咲き始めたところ・・・・・・
「ゆっくり行こうよ」「そうね、ひょっとして天気が回復するかもしれないし」、そんな淡い期待も含めながら〜ゆっくりと花々の写真を撮りながら登って行く。「このあたりで休憩しようか、撮影タイムだっ」、ザックを下し水分補給して〜目の前の花にカメラを向ける。

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ジムカデ

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コメバツガザクラ

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キバナシャクナゲ

先行していたおばさんが突然立ち止まった、、、「シマちゃんよっ」おばさんの視線の先には食事中のエゾシマリスが居た。しかもその周辺にはイワウメやミネズオウが咲いている。「すごいロケーションじゃないか〜」「綺麗よぅ〜〜〜」ファインダーを覗きながらおばさんは興奮気味にシャッターを押し続ける。
「何を食べているのかしら・・・」何やら黒っぽいものを口にしている。標高約1800m付近でのエゾシマリスとの出会い、その表情には何とも言えない美しさもあった。やっと私達の存在に気付いたエゾシマリスはハイマツの中に消え去った。

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