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年末始の休みを利用して、どこかひとつの山でも登ろうと思っていた。荒れ模様の予報であきらめた年末の山行、しかし実際には意外とおだやかな天気が続いた。こうなると天気図を見ながら朝起きて判断するしかない、「朝里岳か、奥手稲山だね」登山口(スタート地点)が近いだけに現地で予定変更が可能である。GPSへのデータ投入、地図も両方を準備してその日を待った。

2011年1月2日、私達は札幌国際スキー場の駐車場で待機していた。見上げる曇り空、朝里岳の山頂方面も雲に覆われていて回復の兆しが見えない。「ヨシ、奥手稲山へ変更だ」、車で数分の移動で奥手稲山の出発地点「春香小屋」の除雪されたスペースに立つ。数台の車がとまっていた「これならラッセル無しだね」、ほっとしながら装備を整えた。

午前8時40分、先行するスノーシューのトレースに導かれるようにスタートである。曇り空ではあるものの風は弱く、あまり寒さは感じない。夕日沢に沿った林道に入る、時々スキー場のアナウンスが聞こえるが気になるほどでは無い。やがて林道が狭まり尾根取り付き地点(地図で林道が分岐している手前)へ、スタートしてから約1時間10分ほどであった。

尾根取付き地点は急斜面である。先行トレースはそのまま直進していたからいよいよラッセル開始だ。「俺が行くよ」そう言って私は小さくジグを切りながらラッセルを開始した。

春香小屋
スタート地点(春香小屋)

林道

林道が狭まり
林道が狭まり

尾根取り付き地点
尾根取り付き地点

地図で見るよりも実際は細い尾根となっていて、しかもまだ雪が少ないせいもありブッシュが行く手を阻む。右に左にと避けながら登って行くと、その横をおばさんが「下山はちょっと大変かもね」と言いながら通り抜けて先行して行った。

約20分ほどの格闘?で斜度も緩み西尾根上に飛び出す。「ちょっと休憩しようか」私は久々の山スキー行にちょっと疲れを感じた。冬山装備ではビーコン、ゾンデ棒、スコップ、更にツエルト、テルモスにはホットコーヒー、その他にデジタル一眼もザックに入れていた。行動中の撮影はコンデジであるが、やはり「これぞっ」と言う場面では一眼で撮影したい。体になじむ?まで、ザックはそれなりの重さで私にプレッシャーをかけていた。

「静かね〜〜」立ち止ると深い静けさに包み込まれる。喧騒の街中からこんな「静寂の時」を得た時の感慨は深いものがある。ザックをおろしドリンクを飲み干しながら私も頷いた。「ほんと、しずかだ〜〜〜」

尾根に上がると山頂に向かって広くなだらかな斜面が続く。木々を交わしながら進んで行く、途中で再び合流したスノーシューのトレースに沿ってゆっくりと登って行く。

ブッシュが行く手を阻む
ブッシュが行く手を阻む

ほっとひと息

なだらかな尾根を行く
なだらかな尾根を行く

広い尾根

「見えてきてるんじゃない?」おばさんの声に振り返る。木々の間から朝里岳、白井岳方面の山々がうっすらと霞んでいた。「今日はやっぱりここで正解だよ」そう自分に言い聞かせながらまた登って行く。

「チッチッチ」小鳥の囀りが聞こえてきた。以前ならさほど気にならなかったのだが、最近は野鳥撮影にも夢中のおばさん、そしてそれにつきあっている私も野鳥に興味を持ちだした。「ジュリリ〜ジュリリーーーッ」、、、「あっ、エナガちゃんだ、ほらあそこの木にとまってるよ」
さすがに山へは望遠レンズを持ってきていないから遠くから眺めるだけである。でも山ではそれで十分だった。

大木に大きな洞があった、「フクロウさんでもいれば良いのにね〜」「立派な洞だね、これならフクロウも数羽入るかもしれないよ」。その大木の裏側には小さめの洞も二つあった。「へぇ〜〜〜こりゃあフクロウの共同住宅になるね」笑いながら私は言った。

いよいよ山頂に向かって最後の登りにさしかかった。前方からスノーシューの二人の男女が下りてきた、「ラッセルありがとうございました」そうお礼を言ってすれ違う。

振り返ると
背後にうっすらと山々が広がる

大きな洞のある木
大きな洞のある木を見ながら

山頂への登り

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