空沼を過ぎると間もなく三笠新道分岐である、標識は見当たらないしもちろん一面雪に覆われているから登山道を肉眼で確認することは出来ない。軽アイゼンをつけた、締まった雪は歩き易かったが、これから急斜面の登りが待ち構えている。ピッケル、ストックを持って〜地図とGPSを見ながら夏道に沿って忠実に進んで行くことにする。

「ん???これってクマの足跡?すっごく大きいよっ」「えっ?クマ??」私の指さす方向には確かに大きな跡が続いていた。「でっかいぞ」と思いながら良く見ると、その先に直径30センチほどの岩が転がっていた。高根ケ原の東側の断崖絶壁から転げ落ちてきた岩の仕業だった。前方にもところどころに岩が転がっている。「気をつけねば・・・」そう思いながら絶壁を見上げた。

高度をある程度保ちながらぐいぐいと進んで行く。私は久々の登りを楽しむかのような感触に満足だった。振り返れば高根ケ原から流れ落ちるような大雪渓が広がる、、、迫力ある光景だ。

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いよいよ高根ケ原へと続く急な登りが始まった。一旦夏道に出たのも束の間、すぐに雪渓に埋もれてしまった。もうここは耐えるしかない、ゆっくりと足元を確認しながら、一歩一歩確実に登って行く。かなりの斜度である、歩くのには適した雪質ではあるものの、踏み外せば滑落だってありえるかもしれない。気を許せない登りが続いた。

途中からおばさんが先頭に替わった。張り出した大きな雪庇が目の前に迫っていた、「もう少しだ」そう自分に言い聞かせながら歩を進める。一息つきながら振り返る、koyaさん、akamさん、yamazさんがゆっくりと登って来る。その背景には石狩連峰が広がっていた。

やがて斜度がゆるみ雪渓が途切れてハイマツの中を少し進むと〜視界が広がって高根ケ原に飛び出す、10時25分〜高根ケ原分岐に到着だ。高原温泉をスタートしてから3時間25分だった。

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高根ケ原分岐
高根ケ原分岐

いつしか上空はあまり日差しを感じない高曇りになっていた。ただ風が無いのと視界が良好だったから、絶好の登山日和だと言えるのかもしれない。分岐にザックを置いて〜足元に広がる花々を楽しみながら忠別岳方面へ向かった。旭岳と白雲岳を横目に〜前方に続く高根ケ原と忠別岳、、、奥には化雲岳からトムラウシ山がくっきりと見えている。しゃがみ込んでパチリ、遠くを見てパチリ、眼下の空沼と遠く石狩連峰を見てパチリ〜〜〜

再び分岐に戻って昼食タイム!コーヒーを飲みほしながらも周囲の花々に目を向ける。今回のコースは高根ケ原に登ってしまえば、もうきつい登りは無い。あとは咲き始めた花々を愛でながら〜展望を楽しみながら〜結論から言って14.5km、9時間強の行程だった。

旭岳と白雲岳
左に旭岳、右に白雲岳(パノラマ)

忠別岳とトムラウシ
前方には忠別岳、遠くトムラウシ山が

空沼と石狩連峰
眼下に空沼、 彼方には石狩連峰

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