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7合目の前後付近ではサマニユキワリがあちこちで咲き始めていた。「これだけ咲いていれば~」とうれしくなりながらファインダーを覗きこむ。それにしても強い陽射しだ、花撮影にちょっと難儀していると~「早く早く~」先を進むおばさんがそう言いながら手招きしていた。

「ん?素晴らしいサマニユキワリがあるのかな?いやそれならばそんなに急ぐ必要も無い筈だ」そんな思いを抱きながらも急ぎ足でおばさんの下へ。「ほら、セセリ蝶よ」「あっ、ヒメチャマダラセセリか~」あまり蝶には興味を持っていなかったので、何度も登っているアポイ岳では今まで注目したことが無かった。思っていたよりもずっと小さな蝶だった。それがなんとサマニユキワリにとまって吸蜜していたのである。しかも結構長い間その体制を維持してくれた。
ヒメチャマダラセセリは、日本ではアポイ岳でしか見れらない天然記念物に指定されているそうだ。それをカメラにおさめる事が出来たなんともラッキーな出会いとなったのである。

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サマニユキワリ
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サマニユキワリにヒメチャマダラセセリが・・・

「見えてるよ~」おばさんが叫んだ。馬の背に上がると大きく視界が広がって~前方に真っ白な日高山脈がクッキリとした輪郭で見えていたのである。「すごいなぁ~~~」久しぶりに見たこの光景に私も思わず叫んでいた。もちろん手前にはピンネシリから吉田岳、アポイ岳と連なる山々がどっしりと構えていた。今まで何度も感動してきた「苦しい登りに耐えて展開された大展望」、そんな思いが脳裏をかけ巡る。「又、登りたい」そんな気持ちにさせてくれる瞬間でもあるのだ。

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馬の背に広がる展望

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白い日高山脈がクッキリと見えていた

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ピンネシリと吉田岳

次々と登って来る人達と入れ替わるように~私達はアポイ岳の山頂に向かって歩き始めた。幌満お花畑への分岐を右に分けて、8合目、9合目と急な岩尾根を登って行く。さすがにまだ時期的に早いせいか、咲く花々の姿はほとんど無い。わずかにショウジョウバカマが咲いていた程度であった。

山頂直下の私のお気に入り撮影スポットからは、ピンネシリ~吉田岳と続く稜線、そしてその奥に日高山脈がクッキリと見えていた。9時50分、アポイ岳の山頂に立った。駐車場から歩き始めて3時間20分だった。

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いよいよ山頂へ向かって

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急な岩尾根を行く(9合目)

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吉田岳、ピンネシリの奥に日高山脈を見る

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山頂では多くの方々が寛いでいたが、私達はそのまま幌満お花畑に向かって南下し始めた。背の低いダケカンバ林を抜けると、ハイマツと笹に覆われた斜面となる。段々展望が開けて来て、眼下にブルーの太平洋、そして大きな山容の幌満岳とえりも岬方面を見る。えりも方面の山々も美しく連なる。このコースを下るのは心地よい。しかし笹斜面なのでダニには要注意かもしれない。

眼下にお花畑を見る頃には尾根はどんどん急になり、ハイマツに捕まりながら下って行くことになる。あまり登りには使いたくないと思わせるところでもある。アポイ岳から30分ほどで幌満お花畑に到着した。

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幌満お花畑に向かって下る

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眼下に太平洋を見ながら

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幌満岳の奥にえりも岬を見る

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奥に連なるえりも周辺の山々

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幌満お花畑

お花畑と言っても、さすがにこの時期ではほとんどその趣きは無かった。わずかに一輪の花をつけたヒダカイワザクラ、そしてやっと咲き始めたアポイキンバイ程度であった。ザックを下して大休止、ちょっと風が強かったが寒いと言うことは無い。時折、私達と同じように下りて来る人達がいるが、ほとんどの方々はそのまま通過して行った。私達は水分補給をしながら軽食を頬張り、体力維持?につとめる。

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一輪だけ咲いていたヒダカイワザクラ

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アポイキンバイ

立ち上がり、帰路に向かうべく山腹トラバースに移った。ここは高低差はほとんど無い登山道、分岐まで約800mほどだがちょっと狭いので足元には注意が必要だ。ひんやりとした樹林帯にはヒメイチゲがあちこちで咲いていた。やがて分岐に出ると~もう一度広がる展望を満喫しながら進んで行く。馬の背では大勢の人達が寛いでいた。私達は立ったまま水分補給をして、そのまま5合目に向かって下って行く、

「やっぱり暑いね」そう言いながらも、登りの時よりもちょっと開き始めたアポイアズマギクにカメラを向ける。5合目から樹林帯に入り~淡々と下って登山口が近くなってきた頃~登山道脇に開き始めたコミヤマカタバミを見た。

午後1時40分、ビジターセンター前の駐車場で私達は装備を解いた。「渋滞大丈夫かしら?」そんな心配を抱きながら札幌へと向かって車を走らせた。今シーズン最初のアポイ岳登山、今年は何度訪れることになるのだろう。

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お花畑を後にする

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山腹トラバース

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馬の背へ向かって

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もう一度展望を満喫しながら

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開き始めたアポイアズマギク

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コミヤマカタバミ



コースタイム(含休憩&撮影時間)

駐車場 06:30  5合目 08:00-08:10  馬の背 09:00-09:15  山頂 09:50  幌満お花畑 10:20-10:50  馬の背 11:35  5合目 12:10-12:20  駐車場  13:40
【歩行距離 10.6km  延行動時間 7時間10分】

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