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2018年7月18日、早朝の十勝岳温泉陵雲閣前の駐車場は濃いガスに包まれていた。午前5時40分、入山ポストに届けを済ませて安政火口へ向かう遊歩道を進んで行く。視界は悪いものの、風は弱く雨が降りそうな雰囲気でもない。「咲いてるかしら?」今年の山の開花予想は、天候の影響で例年に無く難しい。ネットで直近の山行の記録を見ても、やはり「登山」が主目的なものが多く、花についての記録や画像を見ても~見た目や印象は人それぞれでなかなか判断に苦しむところがある。そんな記録の行間からちょっとしたポイントを見つけて予測することになる。

「あっ、咲いてるわよ」遊歩道脇にノビネチドリやアカモノ(イワハゼ)の姿を見つけた。いつもこの時期に見る花々に、これから展開される花模様への期待が高まる瞬間だった。

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濃いガスに包まれて遊歩道をスタート

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ゴゼンタチバナ

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アカモノ

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ギンリョウソウ

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ノビネチドリ

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ウラジロタデ

前方に見えて来るはずの安政火口は濃いガスに包まれたままである。いい感じで咲いているコメススキをカメラにおさめて沢を渡り、対岸を大きな岩を交わしながら斜めに登って行くことになる。まだ時間も早いせいか登山者の姿もポツポツと見える程度の静けさだった。タカネナナカマドやマルバシモツケ、イソツツジ等が登山道脇に咲いてはいるものの~どうもいつもの(例年の)彩りが感じられない。「やっぱりまだ早かったかしら」ちょっと気落ちしながら歩を進めた。

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安政火口も見えない

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コメススキ

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火口手前の沢を渡る

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尾根を斜めに登って行く

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D尾根を回り込み沢へ向かって進んで行く、その先が上ホロ分岐なのだがまだ雪渓に覆われていてスノーブリッジ状態になっていた。ここは大きな岩を越えるところなので踏み抜きは怖い。慎重に歩を進めて何とか上ホロ分岐に立った。後から来た男性に「危ないですよ、回り込んだ方が」と言ったのだが、そのまま進んで~「あっ」と叫んで踏み抜いた。胸まで落ち込んだが大事には至らなくてほっと一安心。

上ホロ分岐を過ぎると次は三峰山沢だ、ここは残雪の影響は無かった。長い階段登りを終えてさらにもうひとつ沢を越えると~登山道は三峰山の山腹をトラバースしながら進むことになる。

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上ホロ分岐手前の沢(スノーブリッジ状態になっていた)

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三峰山沢へ

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長い階段登り

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三つ目の沢

「明るくなって来たよ・・・晴れるかも・・・見えて来たよ・・・」振り返る、また前を見る~何度もそんな状況が繰り返される。そんな光景も次から次へと流れ込む雲で一瞬で見えなくなってしまう。何となくちょっと無口になりながら~ゆっくりと進んで行く。

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急にガスが消え去り

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振り返ると

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またすぐに濃いガスに包まれ

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見えそうで見えない富良野岳

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