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いよいよ馬の背から頂上に向かって歩き始めた。風は弱いものの霧は益々濃くなってきて、先を進むおばさんの姿もちょっと離れると見えなくなってしまう。この霧がアポイ岳特有の植物環境を生み出しているのだろう。もちろん咲く花々はその霧でしっぽりと濡れていた。水滴をつけて咲く花々も風情があるが、水分過多気味になると花びらが萎れているようにも見えて~なかなか微妙なものだ。岩肌をビッシリと埋め尽くすサマニユキワリとチングルマを遠目に見る。

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先を進むおばさんの姿も霞む

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アポイアズマギク

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岩場を埋め尽くすサマニユキワリとチングルマ

「あっ、咲いてるよっ」おばさんが立ち止まって指差す先はアポイゼキショウだった。登りではやっと一株見ただけだったが、下りではあちこちで見ることが出来た。早くも咲き始めたアポイカラマツの赤紫色の花糸が揺れる。中腹ではほぼ終盤だったアポイアズマギクだが、上部ではまだ美しく咲いていた。

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アポイゼキショウ

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アポイカラマツ

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アポイアズマギク

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紅紫色のアポイアズマギク

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チングルマ

たっぷりと水分を含んだチングルマが咲く岩尾根を登って行く。周辺にダケカンバが見られるようになると頂上は近い。天気が良い日ならではの私のビュースポットもあっさりと通過、一気に登り切って頂上に立った。10時15分、登り始めてから2時間40分という私達にとっては出色のコースタイムとなった。頂上では数名の人達が記念写真を撮ったりしながら寛いでいた。さすがにここまで来ると風が出て来て、霧も雨のように感じて来る。私達は即刻下山を開始した。

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ますます霧が濃くなって来て

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チングルマ

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ダケカンバが見えて来ると頂上は近い

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この時期のアポイ岳で華やかさを感じる花は?と聞かれたら、自分好みではあるがエゾキスミレと答えるだろう。厚く光沢のある葉と目立つ黄色い花が魅力的だ。岩場を埋め尽くすサマニユキワリも圧巻である。ただほとんど霧で濡れていたので、岩陰に咲いていた花にカメラを向けた。ヒダカイワザクラも同様であった。

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エゾキスミレ
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サマニユキワリ
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ヒダカイワザクラ
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濃霧の中をゆっくりゆっくりと下って行く。この頃になると次から次へと登って来る人達が続いた。「こんにちは~」「あらっ、もう下山ですか」そんな言葉を交わしながらも、私達は咲く花々に目を奪われる。前回は途中撤退していたアポイ岳、今回は濃霧に包まれながらもそんな花々を十分堪能出来る山行となった。

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コースタイム(含休憩時間)
入山ポスト 07:35  5合目 08:45  馬の背 09:25  頂上 10:15  馬の背 11:10  5合目 11:40  入山ポスト 12:45

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